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東京高等裁判所 昭和50年(ネ)1145号 判決

控訴人 株式会社ヒダカ・トランスポート

被控訴人 東京三菱ふそう自動車販売株式会社

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

控訴人において金一〇万円を国庫に納付することを命ずる。

事実

控訴人は、当審における口頭弁論期日に出頭しなかつたが、陳述したものとみなされた控訴人提出の控訴状の記載によれば、控訴の趣旨は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」というのであり、被控訴人は、控訴棄却の判決を求めた。

被控訴人主張の請求原因事実は、原判決書別紙請求の原因らんに記載されているところと同じであるから、これを引用する。

理由

控訴人は、適式な呼出を受けながら原審および当審における各口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面も提出しない(前記陳述したものとみなされた控訴状中にもなんら事実ないし法律上の主張の記載がない)ので、被控訴人主張の請求原因事実を自白したものとみなす。そして右事実によれば、被控訴人の請求は正当としてこれを認容すべきであるから、これと同旨の原判決は相当であつて本件控訴は理由がないのでこれを棄却すべきものとし、控訴費用の負担については敗訴の当事者である控訴人に負担させることとする。

なお、控訴人は、適式な呼出を受けながらなんら正当な事由の届出もなく、原審および当審における各口頭弁論期日に出頭せず、原審および当審を通じて(なお、当審においては、控訴人に対し答弁および抗弁の有無を明らかにするように再度にわたつて釈明勧告をしたのに)答弁書その他の準備書面をも提出しないなど本件訴訟の経過等をも合わせ考えると、本件控訴は、控訴人が訴訟の完結を遅延させる目的だけで控訴を提起したものと認めるよりほかないので、当裁判所は、民事訴訟法第三八四条の二の規定により、控訴人に対し、本件控訴提起の手数料納付金額(一万二、六〇〇円)の一〇倍以内である金一〇万円を国庫に納付すべきことを命ずることとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 畔上英治 安倍正三 唐松寛)

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